【原因別に立て直す】福祉の内部研修が回らない3つの理由|資料作成・日程調整・記録の負担を減らす5ステップ

【原因別に立て直す】福祉の内部研修が回らない3つの理由|資料作成・日程調整・記録の負担を減らす5ステップ

公開日: 2026-09-28 / 更新日: 2026-09-28 / 著者: 杉本 悠飛 (株式会社フェアテクノロジーズ 取締役・株式会社テクキャリ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者) / 想定読了時間: 約8分

対象読者: 障がい福祉事業所の管理者・サービス管理責任者・研修担当者

この記事のポイント

  • 内部研修が回らなくなる原因は、「資料作成」「日程調整」「記録」の3つの作業に分けると整理しやすくなります。負担がどこに集中しているかを先に見極めることが立て直しの出発点です。
  • 資料は毎回ゼロから作らず型にする、日程は「全員が同じ時間に集まる」から「決めた期間内に受ける」へ切り替える、記録は項目を固定する。この3点で準備の手間を減らしやすくなります。
  • 3つの作業を年間の研修計画で束ね、事業所固有の内容は自前で、共通の知識は外部の教材も活用する、という分担を決めておくと、担当者が変わっても運用を続けやすくなります。

福祉の内部研修の負担とは、事業所が自前で職員研修を行う際にかかる「資料作成」「日程調整」「記録」の3つの作業の手間のことです。

内部研修の負担を見極めるチェックリスト

作業よくある状態確認する資料減らし方の方向担当
資料作成研修のたびに資料を一から探して作っている過去の研修資料テーマ別に型を作り使い回す研修担当
資料作成作成が1人に集中している担当の割り振り表作成と確認の役割を分ける管理者
日程調整全員がそろう日が取れず延期が続く年間計画・シフト表期間内に受ける方式を併用する管理者
日程調整欠席者へのフォローが決まっていない受講者名簿後日受講の方法を決めておく研修担当
記録研修ごとに記録の様式が違う研修記録記録の項目を固定するサービス管理責任者
記録記録が年間計画と結びついていない年間計画・研修記録計画と記録を一緒に保管する管理者

1. 内部研修が回らなくなる事業所で起きていること

当社が伺った声では、内部研修が滞る背景として、研修の中身よりも、準備や記録の作業が特定の職員に集中しているケースがありました。

内部研修とは、事業所が自ら企画して職員向けに行う研修です。障がい福祉の事業所では、サービス種別や指定基準に応じて、虐待防止や身体拘束等の適正化に関する研修・体制整備が求められる場合があります。それに加えて支援の質を保つための研修も、日々の支援と並行して続けていくことになります。必要な内容は、所管自治体の通知や公式資料で確認してください。

当社が定例のオリエンテーション等でご利用事業所から伺ってきた声(2025年8月〜2026年7月に記録した110件超)でも、導入前の状況として、内部研修の準備を負担に感じていたというお話を伺うことがあります。自前での内部研修そのものを大きな負担と感じていた事例や、外部研修で受け取った資料を事業所内で回覧する形にとどまり、自分たちだけで研修を回し続けることに限界を感じていた事例がありました。

いずれもご利用事業所様個別の体験・感想であり、同じ結果を保証するものではありません。

こうした状態を「忙しいから仕方がない」で片づけると、研修は延期が続き、後から実施状況を確認しようとしても記録が見つからない、ということが起こりがちです。まずは負担を次の3つに分けて、自事業所ではどこが重いのかを確認します。

  • 資料作成:研修のテーマを決め、資料を探し、作り、印刷する
  • 日程調整:シフトと利用者対応の合間に、受講の時間を確保する
  • 記録:誰が・いつ・何を受けたかを残し、あとで示せる形で保管する

2. 原因1:資料作成を毎回ゼロから担っている

資料作成の負担は、研修のたびに一から作るのをやめ、テーマ別の「型」を持つことで減らしやすくなります。

内部研修の準備では、資料作成が負担の大きな作業になっているケースがあります。当社が伺った声では、導入前に次のような状況があったという事例がありました。

  • 研修のたびに担当者が自分で資料を探し、事業所内の研修を準備していた
  • 外部研修に参加したあと、その内容を事業所向けの資料に作り直していた
  • サービス管理責任者が資料の収集から大量の印刷までを担い、準備の工数が大きくなっていた

いずれもご利用事業所様個別の体験・感想であり、同じ結果を保証するものではありません。

資料作成が重くなる背景には、「毎回、新しい資料を用意しなければならない」という思い込みがあることが少なくありません。同じテーマの研修は、年度が変わっても伝えるべき骨格は大きく変わらないことが多いため、次のように型を作っておくと準備の手間を抑えやすくなります。

  • テーマごとに、目的・押さえる要点・事業所内のルール・振り返りの問いを1枚にまとめた型を作る
  • 年度ごとに見直す箇所(制度の改正点や事業所のルール変更)をあらかじめ決めておく
  • 資料を作る人と内容を確認する人を分け、1人に作業を集中させない
  • 共通の知識を扱うテーマは、外部の教材を活用し、事業所固有の内容の準備に時間を回す

制度の改正に関わる部分は、所管自治体の通知や公式資料で最新の内容を確認してから反映します。

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内部研修の準備と記録の負担を減らす進め方を、導入事業所の運用例とあわせて資料にまとめています。

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3. 原因2:全員がそろう日程を前提にしている

日程調整の負担は、「全員が同じ時間に集まる」前提を見直し、「決めた期間内に受ける」方式を組み合わせることで軽くしやすくなります。

障がい福祉の事業所は、シフト勤務や利用者対応があり、職員全員が同じ時間に集まれる日は限られます。全員参加の集合研修だけで回そうとすると、日程が決まらずに延期が続きやすくなります。

外部の研修に職員を送り出す場合にも、別の負担が生じます。当社が伺った声では、研修への参加に伴う交通費や、その間の人件費を負担に感じていた事例がありました。

ご利用事業所様個別の体験・感想であり、同じ結果を保証するものではありません。

日程の組み方は、研修の目的によって使い分けます。

方式向いている研修日程の決め方
集合型事例検討・ロールプレイなど、話し合いが中心の研修定例会議の時間の一部を充てる
期間内受講型知識の習得が中心の研修「今月末までに受ける」と期限を決める
組み合わせ知識を学んだうえで話し合う研修事前に各自で受講し、会議で要点を共有する

期間内受講型にする場合は、欠席や未受講が出たときの扱いも決めておきます。締め切りの前に未受講の職員へ声をかける担当を置き、後日受講した場合も同じ記録に残すようにすると、受講漏れに気づきやすくなります。

4. 原因3:記録が研修のたびに別様式になっている

記録の負担は、研修ごとに様式を考えるのをやめ、残す項目を固定することで減らしやすくなります。

研修を実施しても、記録の様式が研修ごとに違ったり、担当者の手元にだけ残っていたりすると、あとから実施状況を確認するときに探し回ることになります。運営指導等で研修の実施状況について資料の提示を求められる場合もあるため、記録は「あとで示せる形」で残しておくことが大切です。

記録に残す項目の例は次のとおりです。

  • 実施日と研修のテーマ
  • 対象者と受講者(欠席者・後日受講者を含む)
  • 実施の方法(集合型・期間内受講型など)と講師・教材
  • 研修内容の要約
  • 受講後の感想や理解の確認
  • 未受講者へのフォローの状況

様式を一度決めておけば、担当者が変わっても同じ形で記録を残しやすくなります。必要な記録の内容・様式・保存方法は、サービス種別や自治体の運用によって異なるため、所管自治体の通知や公式資料で確認してください。研修記録の見られ方は、関連記事「運営指導で研修記録は見られる?」でも整理しています。

5. 3つの負担を年間の研修計画で束ねる

資料作成・日程調整・記録は、年間の研修計画に「いつ・誰が・何を準備するか」まで書き込むことで、ひとつの流れとして管理しやすくなります。

3つの作業を研修のたびに別々に考えていると、そのつど段取りから組み直すことになります。当社が伺った声では、委員会・訓練・研修の年間計画を自分たちで組むことに大きな負担を感じ、その時間を利用者への支援に充てたいと考えていた事例がありました。

ご利用事業所様個別の体験・感想であり、同じ結果を保証するものではありません。

年間計画には、研修のテーマと時期だけでなく、準備の段取りまで書き込んでおきます。

計画に書く項目書き方の例
テーマと時期10月:虐待防止の研修
資料の準備9月中旬までに研修担当が型を更新し、管理者が確認する
受講の方式期間内受講型で10月末まで。翌月の定例会議で要点を共有する
記録固定の様式で記録し、年間計画と一緒に保管する
フォロー10月20日時点の未受講者へ研修担当が声をかける

こうしておくと、研修の前月には何を準備すればよいかが計画表から読み取れるようになります。年間計画の立て方そのものは、関連記事「福祉の研修計画の立て方」で詳しく解説しています。

6. 自前で担う部分と、外部の教材を活用する部分を分ける

すべての研修を自前で作ろうとせず、事業所固有の内容は自前で、共通の知識は外部の教材も活用する、という分担を決めると準備の負担を抑えやすくなります。

内部研修には、事業所の職員でなければ作れない内容と、どの事業所でも共通して学ぶ内容があります。

分類内容の例担い方
事業所固有の内容事業所のルール、利用者に合わせた支援の方法、ヒヤリハットの振り返り自前で準備し、話し合いを中心に行う
共通の知識権利擁護の基本、障がい特性の理解、コミュニケーションの基礎外部の教材も活用し、各自で受講する

外部の教材を使う場合も、受講して終わりにせず、定例会議などで「自分たちの事業所ではどうするか」を話し合う時間を持つと、内容が日々の支援につながりやすくなります。当社が伺った声には、導入後に研修等に割く時間や業務負担が軽くなったと感じた事例もありました。

ご利用事業所様個別の体験・感想であり、同じ結果を保証するものではありません。

7. 内部研修を立て直す5ステップ

内部研修の立て直しは、今の作業を書き出して3つに分け、型と様式を決めてから年間計画に落とし込む順で進めると取り組みやすくなります。

  1. 今の研修にかかっている作業を書き出す:直近の研修を1つ選び、準備から記録までに誰が何をしたかを書き出します。
  2. 作業を3つに分けて、重い部分を見つける:書き出した作業を資料作成・日程調整・記録に分け、時間がかかっている部分を確認します。
  3. 資料の型と記録の様式を決める:テーマ別の資料の型と、記録に残す項目を固定します。
  4. 年間計画に段取りまで書き込む:テーマと時期に加えて、資料の準備・受講の方式・記録・フォローの担当と期限を書き込みます。
  5. 3か月後に見直す:計画どおりに進んだか、延期や未受講がどこで生じたかを確認し、型や方式を調整します。

よくあるご質問

Q1. 福祉の内部研修が負担になるのはなぜ?
A. 当社が伺った声では、資料作成・日程調整・記録の作業が特定の職員に集中していたケースがありました。どの作業が重いかを分けて見ると、減らし方を考えやすくなります。

Q2. 内部研修の資料作成を楽にする方法は?
A. 研修のたびに一から作らず、テーマ別の型を作って使い回します。年度ごとに見直す箇所を決め、作成と確認の担当を分けると1人に負担が集中しにくくなります。

Q3. 職員全員の研修日程が合わない場合はどうする?
A. 知識の習得が中心の研修は「期限までに各自で受ける」方式に切り替え、話し合いが必要な研修だけを定例会議などで行う方法があります。

Q4. 研修記録には何を書けばよい?
A. 実施日・テーマ・対象者と受講者・実施方法・内容の要約・受講後の感想・未受講者へのフォローなどを固定の項目として残す例があります。必要な内容や様式は所管自治体で確認してください。

Q5. 研修を欠席した職員へのフォローはどうする?
A. 後日受講の方法と期限を決め、締め切り前に声をかける担当を置きます。後日受講した場合も、同じ記録に残すようにします。

Q6. 内部研修はすべて自前で作るべき?
A. 事業所のルールや利用者に合わせた支援方法は自前で、共通の知識は外部の教材も活用するなど、分担を決める方法があります。受講後に事業所としての対応を話し合う時間を持つことが大切です。

事例

架空事例

職員12名ほどの障がい福祉事業所では、内部研修の準備をサービス管理責任者が1人で担っていました。毎回資料を探して作り、全員がそろう日を探しているうちに延期が重なり、実施した研修の記録も研修ごとに様式がばらばらになっていました。

そこで、直近の研修1回分の作業を書き出したところ、時間の多くが資料作成と日程調整にかかっていることがわかりました。事業所では、テーマ別の資料の型を作って確認を管理者が担うことにし、知識の習得が中心の研修は「月末までに各自で受講し、翌月の定例会議で要点を共有する」方式に切り替えました。記録は6つの項目を固定した様式に統一し、年間計画と一緒に保管するようにしました。

この事例のポイントは、研修の数を減らしたことではなく、準備の段取りと担当を年間計画に書き込み、1人に集中していた作業を分けたことです。

まとめ

  • 内部研修が回らなくなる原因は、資料作成・日程調整・記録の3つに分けると整理しやすくなります。
  • 資料はテーマ別の型を作って使い回し、日程は期間内受講型を組み合わせ、記録は項目を固定すると、準備の手間を抑えやすくなります。
  • 3つの作業を年間の研修計画で束ね、段取りと担当まで書き込んでおくと、担当者が変わっても運用を続けやすくなります。
  • 事業所固有の内容は自前で、共通の知識は外部の教材も活用するという分担を決めておくと、限られた時間を事業所ならではの研修に充てやすくなります。

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著者プロフィール

杉本 悠飛 (Yuhi Sugimoto)

株式会社フェアテクノロジーズ 取締役 / 株式会社テクキャリ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者

障がい福祉特化の動画研修サービス「ウェルビーラーニング」を立ち上げ、累計1,000社以上への導入を支援。株式会社テクキャリ(就労継続支援A型事業所)の取締役として、サビ管配置・個別支援計画作成・モニタリング・運営指導対応の実務知見を持つ。

免責事項

本記事は、2026年9月時点における障がい福祉事業所の研修運用に関する一般的な情報をまとめたものです。記事中の事業所様の声は、当社がご利用事業所から伺った内容(定例のオリエンテーション等で2025年8月〜2026年7月に記録した110件超、および2025年6月実施の満足度アンケートの自由記述)を、法人名・地名等を伏せて要約したものであり、同じ結果を保証するものではありません。自事業所に必要な研修や記録の取り扱いは、サービス種別や自治体の運用によって異なるため、所管自治体の通知や公式資料で確認してください。個別の制度・法令上の判断が必要な場合は、所管自治体または弁護士・社会保険労務士などの専門家へご相談ください。


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