
公開日: 2026-09-14 / 更新日: 2026-09-14 / 著者: 杉本 悠飛 (株式会社フェアテクノロジーズ 取締役・株式会社テクキャリ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者) / 想定読了時間: 約8分
対象読者: 障がい福祉事業所の管理者・サービス管理責任者・研修担当者
この記事のポイント
- 動画研修が続かない原因は、教材の内容よりも「見る時間が取れない」「見ることを思い出せない」という運用側にあることが多く見られます。
- 当社サービスの導入事業所を対象に2025年6月に実施した満足度アンケート(回答63件。延べ回答数であり法人数ではありません)では、5段階評価で4以上が53件(84.1%)、平均は4.11でした。この結果は障がい福祉分野全体の傾向を示すものではありません。自由記述で繰り返し挙がったのは、1本の短さ、表現の分かりやすさ、受講を思い出すきっかけの3点です。
- 続けやすい仕組みをつくるには、視聴のハードルを下げるだけでなく、受講状況を確認する担当と時期を決めておくことが役立ちます。
動画研修が続けやすい事業所とは、職員が業務の合間に視聴を完了でき、受講状況を管理者が把握できる状態を保てている事業所です。
動画研修を続けやすくするチェックリスト
| 確認領域 | 確認する内容 | 見る資料 | 改善の方向 | 担当 |
|---|---|---|---|---|
| 視聴時間 | 1本あたりの長さと視聴タイミング | 受講履歴 | 業務の切れ目に収まる長さにする | 管理者 |
| 表現 | 職員が内容を理解できているか | 受講後の感想 | 図や具体例の多い教材を選ぶ | 研修担当 |
| きっかけ | 受講を思い出す仕組みの有無 | 案内メール・掲示 | 声かけと通知の時期を決める | 研修担当 |
| 把握 | 誰がどこまで視聴したか | 受講履歴 | 月次で未視聴者を確認する | サービス管理責任者 |
| 接続 | 研修内容が業務につながっているか | 会議記録 | 定例で一言共有する時間を持つ | 現場リーダー |
| 記録 | 実施の証跡が残っているか | 研修報告書・年間計画 | 出力できる形で保管する | 管理者 |
1. 動画研修が続かない事業所で起きていること
動画研修が止まる主な原因は、教材の内容ではなく、視聴時間の確保と受講の可視化ができていないことです。
導入のご相談をいただく場面で多いのが、「以前に別の方法で研修を始めたが、いつの間にか見なくなった」という声です。理由を伺うと、次のような状態が重なっていることが多く見られます。
- 1本の動画が長く、業務の合間に見終えられない
- 見るように伝えてはいるが、いつまでに見るのかが決まっていない
- 誰がどこまで見たかを管理者が把握できていない
- 見た内容が業務の話題にのぼらず、受講が個人の作業で終わっている
- 研修の記録が残らず、実施した事実を後から示せない
いずれも教材を入れ替えれば解消するものではなく、運用の設計で決まる部分です。まずは自事業所がどの状態にあるかを確認するところから始めます。
2. 導入事業所への満足度アンケートで見えたこと
ウェルビーラーニングの導入事業所を対象とした満足度アンケート(2025年6月実施・回答63件)では、5段階評価の平均が4.11、4以上が53件(84.1%)でした。
| 満足度(5段階) | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 5 | 17件 | 27.0% |
| 4 | 36件 | 57.1% |
| 3 | 10件 | 15.9% |
| 2 | 0件 | 0.0% |
| 1 | 0件 | 0.0% |
| 平均 | 4.11 / 5.0 | — |
集計上の注記として、「回答63件」は延べ回答数です。同一法人からの回答が3件重複しているため、法人数ではありません。また、本アンケートは当社サービスの導入事業所を対象としたものであり、障がい福祉分野全体の傾向を示すものではありません。
数値そのものよりも参考になるのは、自由記述とその後の定例面談で繰り返し挙がった内容です。これらは2025年8月から2026年7月にかけて、当社が定例のオリエンテーションで記録した110件を超える声として蓄積しています。以下では、そこから共通していた3点を条件として整理します。
3. 条件1:1本が短く、業務の切れ目に収まる
アンケートや日々のヒアリングでは、1本あたりの視聴時間を業務の切れ目に収まる長さに設定している事業所の例が多く見られました。
繰り返し挙がったのが、視聴時間の短さです。就労継続支援を運営する事業所の管理者様からは「動画が5分程度と短く、スキマ時間を活用しながら無理なく進められる」、職員配置に余裕のない事業所様からは「時間が裂けない中でも隙間時間に見られるから助かる」という声をいただいています。
いずれもご利用事業所様個別の体験・感想であり、同じ結果を保証するものではありません。
通勤時間や利用者対応の合間など、まとまった時間を確保しなくても視聴できることが、継続の前提になっていました。
自事業所で確認する際は、次の点を見ます。
- 1本の長さが、職員が実際に確保できる時間に収まっているか
- スマートフォンなど、職員が普段使う端末で視聴できるか
- 途中で中断しても、続きから再開できるか
- 1回の案内で見てもらう本数を欲張っていないか
職員が無理なく続けられる研修の進め方を、導入事業所の運用例とあわせて資料にまとめています。
4. 条件2:表現が分かりやすく、内容が記憶に残る
視聴が続いている事業所の例では、職員が内容を理解しやすい表現の教材が選ばれていました。
グループホームを運営する法人様からは「アニメーション調で見やすい」、放課後等デイサービスを運営する事業所様からは「アニメーションで、かつ視聴時間が短いのが本当に見やすい」という声をいただきました。また、社会福祉法人様からは「繰り返し同じものを見られるのがいい。知識の定着につながる」というご意見もありました。
いずれもご利用事業所様個別の体験・感想であり、同じ結果を保証するものではありません。
障がい福祉の現場では、経験年数も職種も異なる職員が同じ研修を受けます。専門用語が続く教材は、経験の浅い職員にとって負担になりやすく、途中で視聴が止まる一因になります。教材を選ぶ際は、次の観点で確認します。
- 業界未経験の職員が、前提知識なしで理解できる表現になっているか
- 一度で理解できなかったときに、見直せる形になっているか
- 具体的な場面が示され、自分の業務に置き換えて考えられるか
5. 条件3:受講を思い出すきっかけがある
続いている事業所の例では、職員が受講を思い出す仕組みが運用に組み込まれていました。
視聴環境を整えても、日々の業務のなかで研修は後回しになりがちです。ある特定非営利活動法人様からは「リマインドの連絡が効いている。あれが届くと『忘れてた、見なきゃ』のスイッチが入る」という声をいただきました。別の事業所様からは「月1回の面談が、研修はみんなできているかなと思い出すきっかけになっている」というご意見もありました。
いずれもご利用事業所様個別の体験・感想であり、同じ結果を保証するものではありません。
きっかけをつくる方法は、通知の仕組みに限りません。次のような運用でも同じ役割を果たせます。
- 月初の朝礼で、その月に見る研修と期限を口頭で伝える
- 定例会議の冒頭に、受講状況を共有する時間を数分設ける
- 受講後の感想を、個別面談の材料として使う
- 未視聴の職員に、締め切り前に個別で声をかける担当を決めておく
大切なのは、思い出す機会を個人の心がけに任せず、事業所の予定として組み込んでおくことです。
6. 3条件を自事業所の運用に落とし込む
3つの条件は、教材選びと運用設計の両方に分かれます。導入時に運用側を決めておくと、視聴が止まりにくくなる場合があります。
導入の段階で決めておきたいのは、次の項目です。
| 決めること | 具体例 |
|---|---|
| 対象と本数 | 今月は全職員が2本、新任職員は追加で1本 |
| 期限 | 毎月末まで。翌月初に未視聴者を確認する |
| 確認の担当 | 研修担当が受講履歴を確認し、管理者へ共有する |
| 声かけの方法 | 締め切りの1週間前に、未視聴者へ個別に連絡する |
| 業務への接続 | 定例会議で、受講した内容から一つ共有する |
| 記録の保管 | 受講履歴と年間計画を、出力できる形で保管する |
この表を一度作っておくと、担当者が変わっても運用を引き継ぎやすくなります。あわせて、年間の研修計画と結びつけておくと、対象となる研修の実施状況を確認する際の補助資料として使える場合があります。対象となる研修の種類・頻度・記録要件は、所管自治体の通知や公式資料で確認してください。
7. 続けやすい仕組みは、運営指導への備えにも役立つ
受講状況を把握し、記録が残る運用は、研修の実施状況を確認する際の補助資料として役立つ場合があります。
障がい福祉のサービスでは、虐待防止や身体拘束適正化など、実施が求められる研修があります。運営指導等では、研修の実施状況や、いつ・誰が・何を受けたかを示す資料の提示を求められる場合があります。確認項目や必要な資料はサービス種別・自治体等で異なります。日々の受講状況を把握できている事業所では、この確認に向けた材料を用意しやすくなります。
なお、必要な研修の種類や頻度、記録の様式はサービス種別や自治体の運用によって異なります。自事業所に適用される取り扱いは、所管自治体の通知や公式資料で確認してください。
FAQ
Q1. 動画研修が続かないのはなぜ?
A. 1本が長く視聴時間を確保できない、受講の期限が決まっていない、誰がどこまで見たかを把握できていない、のいずれかが重なっている例が多く見られます。
Q2. 動画研修は1本どのくらいの長さが適切?
A. 職員が業務の切れ目に見終えられる長さが目安です。ウェルビーラーニングでは1本約5分を基本としています。
Q3. 職員が研修を見ているか、どう確認する?
A. 受講履歴を月次で確認し、未視聴の職員へ締め切り前に個別で声をかける担当を決めておきます。
Q4. 動画研修の満足度はどのくらい?
A. 当社サービスの導入事業所を対象に2025年6月に実施した満足度アンケート(回答63件。延べ回答数であり法人数ではありません)では、5段階評価の平均が4.11、4以上が53件(84.1%)でした。当社導入事業所を対象とした調査であり、障がい福祉分野全体の傾向を示すものではありません。
Q5. 集合研修から動画研修へ切り替えるときの注意点は?
A. 教材を入れ替えるだけでなく、受講の期限、確認の担当、業務への共有方法まで同時に決めておきます。
Q6. 未経験の職員にも動画研修は向いている?
A. 前提知識がなくても理解できる表現の教材を選び、繰り返し視聴できる形にしておくと、学び直しの材料として使えます。
Q7. 動画研修の記録は運営指導で使える?
A. 受講履歴や研修報告書は、研修の実施状況を確認する際の補助資料となる場合があります。必要な内容・様式・保存方法は所管自治体の運用によって異なるため、所管自治体へ確認してください。
事例
架空事例
ある障がい福祉事業所では、動画研修を導入したものの、3か月ほどで視聴が止まっていました。案内はしていたものの期限がなく、誰がどこまで見たかも把握できていない状態でした。
そこで、月に見る本数を2本に絞り、期限を月末に設定しました。研修担当が月初に対象の研修を朝礼で伝え、締め切りの1週間前に未視聴の職員へ個別に声をかける役割を持ちました。定例会議では、受講した内容から一つを共有する時間を5分設けました。
この事例のポイントは、教材を変えたことではなく、「いつまでに、誰が確認し、どこで話題にするか」を事業所の予定として決めたことです。
まとめ
- 動画研修が続かない原因は、教材の内容よりも視聴時間の確保と受講の可視化にある例が多く見られます。
- 当社サービスの導入事業所を対象に2025年6月に実施した満足度アンケート(回答63件。延べ回答数であり法人数ではありません)では、5段階評価の平均が4.11、4以上が53件(84.1%)でした。障がい福祉分野全体の傾向を示すものではありません。
- 続く事業所に共通していたのは、1本の短さ、表現の分かりやすさ、受講を思い出すきっかけの3点です。
- 教材選びだけでなく、期限・確認の担当・業務への共有方法を決めておくと、担当者が変わっても運用を続けやすくなります。
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著者プロフィール
杉本 悠飛 (Yuhi Sugimoto)
株式会社フェアテクノロジーズ 取締役 / 株式会社テクキャリ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者
障がい福祉特化の動画研修サービス「ウェルビーラーニング」を立ち上げ、累計1,000社以上への導入を支援。株式会社テクキャリ(就労継続支援A型事業所)の取締役として、サビ管配置・個別支援計画作成・モニタリング・運営指導対応の実務知見を持つ。
免責事項
本記事は、2026年9月時点における障がい福祉事業所の研修運用に関する一般的な情報をまとめたものです。記事中の事業所様の声は、当社がご利用事業所から伺った内容を、法人名・地名等を伏せて要約したものであり、同じ結果を保証するものではありません。満足度アンケートの数値は当社導入事業所を対象とした調査結果です。自事業所に適用される取り扱いや必要な確認事項は、サービス種別や自治体の運用によって異なるため、所管自治体の通知や公式資料で確認してください。個別の制度・法令上の判断が必要な場合は、所管自治体または弁護士・社会保険労務士などの専門家へご相談ください。
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ウェルビーラーニングは、障がい福祉に特化したオンライン研修サービスです。アニメーション動画を中心とした教材とシンプルな操作画面、導入後のサポートで、事業所の研修運用を支援します。累計1,000社以上の事業者に導入されています。
ウェルビーラーニング
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