運営指導(実地指導)で研修記録は見られる?令和8年6月の新マニュアルでわかった自己点検3つの準備

公開日: 2026-07-24 / 更新日: 2026-07-24 / 著者: 杉本 悠飛 (株式会社フェアテクノロジーズ 取締役・株式会社テクキャリ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者) / 想定読了時間: 約6分

運営指導(実地指導)で研修記録は見られる?令和8年6月の新マニュアルでわかった自己点検3つの準備

対象読者: 障がい福祉事業所 (グループホーム・就労継続支援A型/B型・生活介護・児童発達支援・放課後等デイサービス等) の経営者・管理者・サービス管理責任者

この記事のポイント

  • 厚生労働省は令和8(2026)年6月、運営指導(実地指導)の進め方を全国である程度そろえる「集団指導・運営指導マニュアル」を新たに公表しました。
  • マニュアルは、事業者自身による「自己点検」を繰り返し推奨しており、集団指導の内容例には「障害者虐待防止」「身体拘束廃止」「法令等遵守の推進、業務管理体制の届出」が挙げられています。
  • 本記事では、マニュアルの要点と運営指導の実施頻度を整理したうえで、法定研修の受講記録を日頃からどう整えておくべきか、自己点検の3つのポイントを解説します。

1. 結論:マニュアルでは日頃の「自己点検」が重視されている

令和8年6月、厚生労働省は運営指導(実地指導)の進め方を整理した全国共通マニュアルを新たに公表しました。マニュアルでは、事業者等が自ら基準等への適合状況を確認する自己点検の活用が推奨されています。法定研修の実施状況についても、適用される基準や自治体の確認項目を踏まえ、通知が来てから慌てるのではなく、日頃から確認できる状態にしておくことが重要です。

「運営指導の通知が届いた。何から確認すればいいのか」——障がい福祉事業所の運営者からよく聞く悩みです。本記事は、令和8年6月に公表された最新マニュアルの要点と、法定研修(虐待防止研修・身体拘束適正化のための研修等)の受講記録をどう自己点検しておくべきかを整理します。


2. 令和8年6月、運営指導の全国共通マニュアルが公表された

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部は、令和8(2026)年6月、「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」を公表しました(「指定障害福祉サービス事業者等指導指針」=令和8年6月8日障発0608第1号の別添資料)※1。指針では、事業者等に対する指導を「集団指導」「運営指導」に区分しています。これとは別に、不正または著しい基準違反等が疑われる場合には、事実関係を確認するための「監査」が行われることがあり、その結果により勧告・命令・指定取消し等の措置に至る場合があります。

運営指導では、大きく①障害福祉サービスの実施状況指導 ②最低基準等運営体制指導 ③報酬請求指導の3点を確認するとされています。また、集団指導の内容として想定されるものの例には、「障害福祉制度の改正」「報酬基準の改定」に加えて、「障害者虐待防止」「身体拘束廃止」「法令等遵守の推進、業務管理体制の届出」が明記されています※1

マニュアルでは、事業者等が自ら基準等への適合状況を確認する「自己点検」の活用が示されています。業務管理体制として届け出られた法令遵守責任者が中心となり、自己点検を進めることが望ましい旨が示されており、具体的な役割分担や点検方法は、法人の業務管理体制と所管自治体の案内をご確認ください※1

※1 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」(令和8年6月・社会・援護局障害保健福祉部企画課監査指導室)。運用の詳細(自己点検シートの様式・実施時期等)は自治体(指定権者)ごとに異なる場合があるため、最新情報は所管の自治体にご確認ください。


3. 運営指導と法定研修(虐待防止・身体拘束適正化)の関係

前章の通り、集団指導の内容例には「障害者虐待防止」「身体拘束廃止」「法令等遵守の推進、業務管理体制の届出」が挙げられています。今回確認したマニュアルには、虐待防止研修や身体拘束適正化研修の実施記録を、全国一律の確認文書として確認するとの記載は見当たりません。一方、各サービスに適用される運営基準等に基づく研修の実施状況については、自治体の自己点検票や運営指導時の確認文書で確認される場合があります。対象となる研修、確認資料、様式はサービス種別や指定権者によって異なるため、所管自治体が公表する最新の確認項目をご確認ください。

虐待防止研修の義務化の背景や5類型・身体拘束3要件については、「虐待防止研修とは? 義務化背景・5類型・身体拘束3要件まで完全ガイド」で詳しく解説しています。身体拘束の記録様式については、身体拘束の3要件と記録の書き方(準備中)もあわせてご覧ください。


4. 実施頻度:あなたの事業所はいつ来る?

運営指導の対象は指定を受けた全事業者等ですが、「指定障害福祉サービス事業者等指導指針」では、重点的かつ効率的な指導の観点から、次のように実施頻度を定めています※1

事業所の種類実施頻度の目安
就労継続支援A型・就労継続支援B型・共同生活援助(グループホーム)3年に1回以上
その他のサービス3年に1回までは求めないが、原則として指定の有効期間内に少なくとも1回以上
指定後まもない事業者等指定後3年以内に実施(就労継続支援A型は新規指定の半年後を目途に初回)
過去の指導内容・通報等により不適切な運営が疑われる場合等優先的に実施
出典: 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」(令和8年6月)

実施通知は、原則として実施予定日の1か月前までに発出されます。ただし、不正請求のための文書改ざんが疑われる場合や、障害者虐待が疑われているなど、あらかじめ通知したのでは日常のサービス提供状況を確認できないと認められる場合等、やむを得ない場合には、事前通知なしで実施し、指導開始時に通知を行うことも可能とされています※1


5. 今すぐ確認したい3つのポイント(研修記録の自己点検)

通知が来てから慌てないために、法定研修の受講記録は「いつでも説明できる状態」にしておくのが安全です。特に次の3点を、自己点検の一環として日頃から確認しておくことをおすすめします。

  1. 直近の法定研修(虐待防止研修・身体拘束適正化のための研修等)の実施記録が、事業所内で保管されているか。実施日・対象研修の内容が確認できる状態にしておきます。
  2. 適用される運営基準等で研修対象となる従業者について、受講状況を一覧で確認できるか。非常勤職員や派遣職員等の取扱いを含め、対象範囲は研修の根拠規定・契約関係および所管自治体の案内をご確認ください。
  3. 自治体が公表している自己点検シートや、自社の運営基準チェックリストで、事前に確認しているか。マニュアルでは、法令遵守責任者が中心となってこうした自己点検を進めることが望ましいとされています。

動画研修(eラーニング)であれば、受講日時・対象者・受講状況が自動で記録として残るため、この自己点検の準備を省力化しやすくなります。ただし、記録の保存期間や、確認文書としてどこまで求められるかは自治体・確認文書の様式によって異なるため、最終的には所管の自治体にご確認ください。

私たち株式会社フェアテクノロジーズが提供するウェルビーラーニングは、障がい福祉特化の動画研修サービスとして、虐待防止研修・身体拘束適正化研修・感染症対策研修・倫理研修・個人情報保護研修・ハラスメント防止研修などを1契約でカバー。受講履歴が自動で記録されるため、事業所内での自己点検・整理に活用できます(運営指導時の確認資料として十分かどうかは所管自治体の確認項目をご確認ください)。累計1,000社以上に導入いただいています。


FAQ ─ よくあるご質問

Q1. 「実地指導」と「運営指導」はどのように使い分けられていますか?

自治体の案内では「実地指導」という呼称が使われている場合がありますが、令和8年6月の厚生労働省マニュアルでは「運営指導」と表記されています。本記事では同マニュアルの表記に合わせ「運営指導」を使用しています。両者の具体的な対象・実施方法は、所管自治体の最新案内をご確認ください。

Q2. 集団指導と運営指導の違いは何ですか?

集団指導は、制度の趣旨や報酬請求の手続き等を事業者等に一斉に周知する「情報のインプット」の場です。運営指導は、事業者等ごとにサービスの質・運営体制・報酬請求の実施状況等を確認する、原則実地で行われる指導です。マニュアルでは、運営指導を受ける前に集団指導を受講しておくことが望ましいとされています。

Q3. 研修記録はどのくらいの期間、保管すればいいですか?

今回確認したマニュアルには、研修記録に特化した全国一律の保存年数は明記されていません。運営基準・報酬基準に基づく書類の保存ルールや、自治体の要綱によって定めが異なる場合があるため、保存期間は所管の自治体にご確認のうえ、余裕を持って保管しておくことをおすすめします。

Q4. 動画研修(eラーニング)の受講記録は、運営指導の証跡として使えますか?

一般的に、受講日時・対象者・研修内容が記録として残っていれば、法定研修を実施した記録として活用しやすくなります。ただし、確認文書として具体的にどのような様式・記載が求められるかは自治体によって異なるため、証跡として十分かどうかは、最終的に指定権者にご確認ください。


まとめ

  • 厚労省は令和8年6月、集団指導・運営指導のマニュアルを公表。事業者等による「自己点検」の活用が示されています。
  • 指針では、運営指導は就労継続支援A型・B型・グループホームは3年に1回以上、その他は指定有効期間内に少なくとも1回以上行うことが基本とされています。
  • マニュアルに、法定研修の実施記録を全国一律の確認文書として確認するとの記載は見当たりませんが、適用される運営基準等に基づく研修の実施状況は、自治体の自己点検票や確認文書で確認される場合があります。誰が・いつ受講したかをいつでも説明できる状態にしておきましょう。
  • 本記事は情報提供を目的としたものであり、法令解釈や個別事案への適用を保証するものではありません。運営指導への対応は、必ず最新の一次情報(厚生労働省・所管の自治体)をご確認ください。

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参考文献

  • 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」(令和8年6月・社会・援護局障害保健福祉部企画課監査指導室) PDF
  • 「指定障害福祉サービス事業者等指導指針」(令和8年6月8日障発0608第1号)
  • 厚生労働省「障害福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)

本記事の内容は2026年7月時点で確認できた公表情報に基づきます。運営指導の運用(頻度・様式・自己点検シートの内容等)は自治体(指定権者)ごとに異なる場合があるため、最新の法令・通知・自治体運用については厚生労働省および所管自治体の公式情報を必ずご確認ください。個別事案の法令解釈は、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。


著者プロフィール

杉本 悠飛 (Yuhi Sugimoto)

株式会社フェアテクノロジーズ 取締役 / 株式会社テクキャリ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者

障がい福祉特化の動画研修サービス「ウェルビーラーニング」を立ち上げ、累計1,000社以上への導入を支援。株式会社テクキャリ(就労継続支援A型事業所)の取締役として、サビ管配置・個別支援計画作成・モニタリング・運営指導対応の実務知見を持つ。