【満員必達】A型事業所の利用者集客|6チャネル+体験→雇用5ステップ完全設計

【満員必達】A型事業所の利用者集客|6チャネル+体験→雇用5ステップ完全設計

公開日: 2026-07-27 / 更新日: 2026-07-27 / 著者: 杉本 悠飛 (株式会社フェアテクノロジーズ 取締役・株式会社テクキャリ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者) / 想定読了時間: 約15〜20分

対象読者: 就労継続支援A型事業所の経営者・管理者・サービス管理責任者

この記事のポイント

  • A型事業所の集客は「就労ルート 3チャネル (ハローワーク専門援助部門・ナカポツ・自社SNS/サイト) ×福祉ルート 3チャネル (相談支援事業所・医療機関・特別支援学校)」の 二重戦略 で設計するのが基本です。
  • 紹介や問い合わせが来ても定員が埋まらない事業所の多くは、「体験→雇用までの5ステップ」のどこかで離脱しています。漏斗の最弱ステップを特定し、見学時の現場案内・短時間作業体験・受給者証申請サポートをマニュアル化すれば歩留まりは大きく改善します。
  • 本記事では仮想A型事業所のストーリーを軸に、明日から動かせる「3アクション」と、賃金や支援体制など 集客以前に整えるべき差別化軸 まで踏み込んで解説します。

1. A型集客の本質 ─ 就労ルート×福祉ルートの二重戦略

就労継続支援A型 (以下「A型」) 事業所の集客は、「働きたい本人が自分で探して来る就労ルート」と「支援者が本人を勧めてくる福祉ルート」の2つの入口を同時に開ける『二重戦略』が基本です。片方しか見ていない事業所は、定員が長期間埋まりません。

A型は2026年現在、全国で約4,400事業所が運営され、生産活動の収益から最低賃金以上の賃金を支払う雇用契約型の福祉サービスとして位置づけられています。A型の平均賃金は月およそ9.2万円 (厚生労働省「令和6年度工賃 (賃金) の実績について」) と、B型 (月平均工賃 約1.9万円) と比べて経済的訴求が強い一方、雇用契約に基づく「働く責任」も伴う独自のサービスです。

この性格ゆえに、A型に来る利用者の入口は明確に2系統に分かれます。

二重戦略のフレーム

ルート主な入口来訪者の判断軸動かす時間軸
就労ルートハローワーク専門援助部門 / ナカポツ / 自社SNS・サイト時給・月平均賃金・作業内容・一般就労への発展性短期 (求人票月1更新で即反応)
福祉ルート相談支援事業所 / 医療機関 (精神科地域連携室) / 特別支援学校安心して通えるか・支援体制・生活リズム長期 (3〜12ヶ月で信頼が育つ)

仮想事業所「テクラボA」が気づいた失敗パターン

架空事例 ─ 以下に登場する「テクラボA」「アクトワーク」「ファーストA葵」「みやびA」「青空A」「ひなたA」は、すべて実在の事業所ではなく、業界実務の感覚値を素材に構成した 架空の事業所 です。実際の最適運用は地域特性・他事業所数・自事業所の作業特性により変動します。

仮想A型事業所「テクラボA」 (定員20名・開設1年目・時給1,100円・主作業データ入力と軽作業) は、「時給は地域トップクラス、ハロワに求人を出せば応募は来るはず」という前提で開設。ところが半年後、応募は月1〜2件、契約13名、空き7名のまま。求人票の写真を増やしSNSも始めても変わりませんでした。

転機は自立支援協議会で隣の相談支援員から「うちの利用者さん紹介していいですか」と声をかけられたこと。「働きたい人」だけ待っていたが、A型を選ぶ人には「相談支援員に勧められて来る人」が一定数いて、その層はハロワ求人票を見ていない という事実に気づきます。

翌週から相談支援員5名に挨拶回りを始め、事業所の特徴・受け入れ可能な障がい特性・現場の支援体制を1枚にまとめて手渡したところ、3ヶ月後から見学申込が入り始め、半年後に定員到達しました。

自事業所はどのタイプか ─ 4象限の自己診断

直近半年の見学者を思い出して、ルート別の比率を出してください。

就労ルート比率福祉ルート比率タイプ課題
8割以上2割以下就労偏重型 (テクラボA初期)福祉ルートに着手できていない・空きが構造的に埋まらない
2割以下8割以上福祉偏重型賃金訴求が弱く伸び代を逃している
5:5前後5:5前後二重戦略型 (理想)このバランスを維持する運用設計が次の課題
共に少ない共に少ない未着手型まず福祉ルートから (本記事第3・4章) 着手

留保: 上記の数値や閾値は仮想事業所のストーリーと業界実務の感覚値に基づきます。実際の最適比率は地域の人口・他事業所数・自事業所の作業特性により変動するため、半年ごとに見直しを推奨します。


2. 就労ルート 3チャネル (ハローワーク・ナカポツ・自社SNS)

就労ルートは「働きたい本人が動く」入口です。ハローワーク専門援助部門・障害者就業・生活支援センター (ナカポツ)・自社SNS/サイトの3チャネルを月次でメンテナンスし、『数字で勝負する自己紹介』を共通武器として持つのが要です。

業界規模 ─ 大河川にどう乗るか

厚生労働省「令和6年度 障害者の職業紹介状況等」によると、ハローワーク経由の障がいのある方の就職件数は 年間およそ11.6万件 (令和6年度・過去最高) に達しています。この大河川に「月1更新」と「顔の見える関係」で乗れるかどうかが、就労ルートの成否を分けます。

「求人票を出して終わり」が失敗パターン ─ アクトワーク事例

仮想事業所「アクトワーク」 (定員30名・運営3年目・時給1,050円・主作業は食品箱詰めと清掃受託) は、開設時のハロワ求人票を放置。結果、半年で応募ゼロ・見学希望もゼロでした。

管理者がハロワ専門援助部門に直接訊くと、「古い求人は検索でも下に表示されますし、私たちも『動いてない事業所』として候補から外します。それと今日が初めましてですよね」と返答。求人票は月1回必ず更新 しないと埋もれること、ハロワ担当者と顔の見える関係 を作らないと紹介候補にすら入らないことに気づきます。

翌月から月1更新+月1訪問を始め、訪問では時給・月平均賃金・空き状況・受け入れ可能な障がい特性を1枚にまとめて手渡し。半年後、応募は月3件・空きは2名まで減りました。

就労ルート3チャネル × 攻め方マップ

チャネルやることやってはいけないこと
ハローワーク 専門援助部門求人票の月1更新+月1訪問開設時の求人票を放置・「応募ください」だけ繰り返す
ナカポツ (障害者就業・生活支援センター)60秒の自己紹介と紙1枚で定期訪問一度の挨拶で覚えてもらえると期待する
自社SNS・サイト週1回の発信 (作業の様子・利用者の声・賃金のリアル・見学受付)開設時の情報のまま放置・実名顔出しの強要

共通武器 ─ 数字で勝負する自己紹介 60秒テンプレ

ハロワ・ナカポツ・SNSのいずれでも使える「7要素」を1分で言い切れる状態にしてください。

  1. 事業所名・運営年数
  2. 時給 (現行・改定予定)
  3. 月平均賃金 (直近半年の実績)
  4. 通勤可能エリア (送迎の有無含む)
  5. 受け入れ可能な障がい特性 (得意・不得意)
  6. 支援員数と国家資格者の構成
  7. 現在の空き状況 (常時更新)

補足: SNSは「実名・顔出し」を本人の同意なしに行わないでください。本人写真の代わりに作業工程・成果物・支援員の声で語れる構成にすると、本人保護と発信頻度の両立がしやすくなります。

自己診断 (3項目)

  • 求人票は月1更新できているか
  • ハロワ・ナカポツ訪問は月1できているか
  • SNSは週1で動いているか

3つすべてに○がつかない事業所は、就労ルートが回っていない可能性が高い状態です。


3. 福祉ルート 3チャネル (相談支援・医療・特別支援学校)

福祉ルートは「支援者が本人を勧めてくる」入口で、時間が信頼を作る性質を持ちます。相談支援事業所・医療機関 (精神科地域連携室)・特別支援学校の3チャネルを、3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月の時間軸で接触設計するのが要です。

「一度の挨拶」では届かない ─ ファーストA葵事例

仮想事業所「ファーストA葵」 (定員20名・運営2年目・時給1,080円・主作業は自社カフェとパン製造) の管理者は、開設時に相談支援員5名へ挨拶回りし、「福祉ルートも開拓完了」とカレンダーにマーク。ところが半年後、紹介はゼロ。再訪すると「あー、ファーストAさん…えーと、どこのA型さんでしたっけ?」。

相談支援員は日々10件以上の事業所と関わっています。1回の挨拶で覚えてもらえる方が奇跡です。 そこで次のサイクルに切り替えました。

  • 3ヶ月ごとに定期訪問
  • 利用者のモニタリングがあれば 同席を申し出る
  • 季節の便り (春の利用者の様子・夏のイベント報告) を A4一枚で郵送
  • 会わない月もハガキか電話で接点を残す

1年後、紹介3件、2年目には月1件のペースに。「最初の半年は何も起きていないように見えたが、信頼は静かに積み上がっていた」と振り返ります。

福祉ルート3チャネル × 信頼曲線

3チャネルの信頼が立ち上がる時間軸は、それぞれ性質が異なります。

チャネル0ヶ月3ヶ月6ヶ月12ヶ月
相談支援事業所未知知っている事業所見学を勧める候補最初に思い出す事業所
医療機関 (精神科地域連携室・PSW)未知名刺交換完了退院前カンファに呼ばれ始める候補リストに常駐
特別支援学校4月 年度始め挨拶7月 夏休み前の見学案内10月 進路面談シーズン前1月 翌年度体験案内

特別支援学校は 年4タイミングの階段状 で関係が積み上がるのが特徴です。学校年度に合わせた接触カレンダーをあらかじめ組んでおくと、漏れずに回せます。

規模感 ─ 「顔と名前で覚え合う相手」は何人いるか

厚生労働省「障害者相談支援事業の実施状況等」によると、全国の相談支援専門員は約2万9千人 が稼働しています。自地域にも人口比でおおよその人数が存在しているはずです。

そのうち、あなたが「顔と名前で覚え合っている」関係を持っているのは何人ですか? これが福祉ルートのスタート地点です。

自己診断 (4項目)

  • 自地域の相談支援員のうち、顔と名前を覚え合う関係は何名か
  • 3ヶ月以内に接触した相談支援員は何名か
  • 医療機関 (精神科地域連携室) との接点は有るか
  • 特別支援学校との年4タイミング接触は実施できているか

0や1名なら、ファーストA葵の最初の半年と同じ状態です。福祉ルートは「今すぐ結果が出ない」ことを前提に、3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月の時間軸で設計してください。


4. ハロワ・ナカポツ連携の具体策 (最重要)

ハロワ・ナカポツとの関わりで紹介が来る事業所と来ない事業所の差は、訪問時に『どの顔で行っているか』にあります。求人主の顔1割・支援者の顔6割・相談相手の顔3割が理想配分です。

「求人主の顔」だけが半年間紹介ゼロを生む ─ みやびA事例

仮想事業所「みやびA」 (定員25名・運営4年目・時給1,120円・主作業は印刷物加工と梱包) は、月1回ハロワ専門援助部門とナカポツに訪問していました。それなのに半年間紹介はほぼゼロ。同地域の新設事業所には紹介が回っている。

原因は 訪問の第一声 でした。「求人の件でご挨拶に来ました。何か紹介できる方がいたらお願いします」を毎回繰り返していたのです。自立支援協議会でハロワ担当者から「中村さん、いつも『求人主』の顔でいらっしゃるんですよね。求人主さんは何百社も担当していて顔の見分けがつかないんです。困ってる人と事業所をつなぐ『支援者』として話したいんですけど」と指摘されます。

第一声を「最近どんなご相談が来ていますか」「力になれそうな困りごとがあれば共有してください」に変え、求人の話は最後の1分だけにしたところ、3ヶ月後「ちょうど、みやびAさんに合いそうな方がいて」と電話が入りました。半年待っても来なかった電話です。

公的機関連携 ─ 「3つの顔」

第一声の例役割理想比率
求人主の顔「うちの求人を見てください、応募ください」求人情報の伝達1割
支援者の顔「地域の困りごとに、うちの事業所はこう貢献できます」受け入れ可能な障がい特性・代替提案・支援体制を伝える6割
相談相手の顔「最近の地域の傾向はどうですか」「他の事業所さんはどう動いていますか」担当者を上に立て教えを請う3割

担当者の頭の中にある「事業所評価 5項目」

紹介を出す側 (ハロワ・ナカポツ担当者) は、無意識に次の5項目で事業所を評価しています。①紹介後48時間以内のフィードバック ②合わない場合の誠実な説明 (代替案を含む) ③地域連絡会・自立支援協議会への定期出席 ④数字 (時給・月平均賃金・空き状況) の毎月更新 ⑤困った時に相談してくれる姿勢。

最初の一歩・月次・年間の動き

  • **最初の1ヶ月** ─ ハロワ専門援助部門・ナカポツ・相談支援員5名への挨拶訪問+紙1枚資料配布
  • **月次** ─ 求人票月1更新・ハロワ/ナカポツ月1訪問 (3つの顔配分)・紹介後48h以内フィードバック
  • **四半期** ─ 相談支援員への定期接触・季節の便り郵送
  • **年間** ─ 地域連絡会・自立支援協議会への通年出席・特別支援学校 年4タイミング訪問

訪問時には第2章の「数字で勝負する自己紹介 60秒テンプレ (7要素)」を紙1枚で持参してください。

自己診断 (3項目)

  • 直近のハロワ・ナカポツ訪問で、第一声は何だったか (「応募ください」が口癖になっていないか)
  • 求人主・支援者・相談相手 ─ どの顔が自事業所のデフォルトになっているか
  • 紹介後のフィードバックは48時間以内にできているか

5. 体験実習→雇用までの5ステップ品質設計

紹介や問い合わせが来ても契約に至らなければ空きは埋まりません。問い合わせから雇用契約までを5ステップに分解し、最弱ステップの離脱率を改善するのが歩留まり改善の王道です。業界の感覚値で、体験から雇用までの平均期間は およそ1.5〜3ヶ月 です。

同条件で歩留まり3倍差 ─ 青空A vs ひなたA

仮想事業所「青空A」と「ひなたA」(共に定員20名・運営2年目・時給1,050円・主作業は内職と組立)を比較。場所も近く、紙の上では同じ事業所に見えます。

青空A: 来訪者を会議室に通し、パンフレットで30分間 制度・賃金・作業内容を説明 → 「何かご質問は?」→「考えます」で見送り。半年で見学20名→体験8名→雇用2名 (見学→体験 40%、体験→雇用 25%)。

ひなたA: 見学対応を作り直し。最初10分だけ会議室で会社説明 → 残り20分は 現場案内で利用者が実際に働く様子を見せる → 希望者には 30分の作業体験 を組み込む → 帰り際は管理者でなく現場リーダーが雑談で見送り。半年で見学20名→体験16名→雇用12名 (見学→体験 80%、体験→雇用 60%)。雇用契約は青空Aの6倍。

ひなたAの管理者は言います。「パンフレットでは『この事業所で働く自分』が想像できない。現場の空気と5分の作業体験があると、本人の中で答えが出るんです」。

5ステップ離脱率マップ

ステップ典型的な離脱の理由打ち手
1. 問い合わせ・見学申込折り返しが遅い・候補日が出てこない24時間以内折り返し+複数候補日の提示・本人/支援者どちらでも申込可のフォーム整備
2. 見学会議室説明だけで「自分の働く姿」が想像できない最初10分会議室+残り20分現場案内+希望者に30分作業体験 (ひなたA方式)
3. 体験実習 (短期1〜3日→中期1〜2週間)作業のミスマッチ・支援員との相性短期と中期の二段構えで相性を見る・現場リーダーが直接フィードバック
4. 受給者証申請・支給決定待ち手続きの孤独感・期間の長さで離脱書類サポート同行・この期間も体験を継続し関係を切らさない
5. 雇用契約契約説明の不安・条件の不透明さ最低賃金・労働時間・休憩・賃金支払い方法・休日休暇の 5項目を書面で丁寧に

ステップ別の運用ポイント

  • ステップ1 (取りこぼし防止): 電話・サイトフォーム・SNS DM のすべての受け口で24h以内折り返し+複数候補日提示
  • ステップ2 (見学60分パッケージ): 0〜10分=会議室で簡潔説明 / 10〜30分=現場案内 / 30〜60分=希望者に短時間作業体験
  • ステップ3 (体験は短期+中期の二段): 短期(1〜3日)で雰囲気と作業特性、中期(1〜2週間)で支援員相性・通勤の現実性・体力面を見る
  • ステップ4 (受給者証申請の伴走): 申請から支給決定まで通常2週間〜1ヶ月。待機中も週1の電話・体験継続で関係を切らさない
  • ステップ5 (契約説明の5項目を書面化): ①最低賃金(時給と地域別最賃額) ②労働時間 ③休憩 ④賃金支払い方法(控除の有無と根拠) ⑤休日休暇

A型事業所は雇用契約に基づくため、労働基準法・最低賃金法が完全適用 されます。「福祉だから柔軟に」は通用しません。控除や残業代の取扱いに不安があれば社労士に確認してください。

自事業所のボトルネックを特定する

直近半年の数字を埋めてみてください。

  • 問い合わせ → 見学 ___%
  • 見学 → 体験 ___%
  • 体験 → 雇用 ___%

最も低い段階が、あなたの事業所のボトルネックです。 そこに打ち手を集中するのが、ひなたA流の改善です。


6. 明日からの3アクション

ここまでの内容を「明日から動かす3つのアクション」に集約します。すべて即日着手可能・お金はかかりません。

アクション1 ─ ハローワーク 専門援助部門に挨拶訪問

  • 自地域のハローワーク 専門援助部門 (※一般窓口とは別) に電話で訪問予約
  • 持参物: 数字で勝負する自己紹介の紙1枚 (時給・月平均賃金・空き状況・受け入れ可能特性・支援員数を A4 1枚に)
  • 第一声は「最近どんなご相談が来ていますか」で支援者の顔から入る
  • 月1訪問のサイクルとして固定化

アクション2 ─ ナカポツ (障害者就業・生活支援センター) に挨拶訪問

  • 全国に 約340箇所 設置されている地域のナカポツに連絡
  • 自地域のナカポツ所在地は厚労省サイトまたは自治体障害福祉課で確認可能
  • アクション1と同じ紙1枚を持参し、3つの顔配分 (求人主1割・支援者6割・相談相手3割) で訪問
  • 紹介後48時間以内フィードバックをルール化

アクション3 ─ 見学→雇用の対応マニュアル化

  • ひなたA方式の60分見学パッケージをA4 1枚にまとめる
  • 5ステップ離脱率マップを朝礼で全スタッフに共有
  • 現場リーダーが見学者と接する時間を必ず確保する運用設計
  • 直近半年の歩留まり数値を測定し、最弱ステップを特定

この3アクションで何が起きるか

仮想事業所テクラボA (第1章) は、この3アクションに準ずる動きを半年継続し定員到達。さらに半年後 (開設1年半時点) は、問い合わせ月8件・体験開始月3件・雇用契約月1件で安定し、1名が他事業所に移っても 翌週には相談支援員から次の紹介 が入る状態に。「集客は『応募を待つ』ことではなく、3つの数字 (問い合わせ・体験・雇用) を月次で動かし続けること」が結論です。

留保: 上記の数字や成果は仮想事業所のストーリーであり、実成果は地域特性・他事業所数・自事業所の作業特性により変動します。


7. 集客以前に考えるべき差別化軸

チャネルを攻めても結果が出ない事業所は、集客以前の『差別化軸』が弱いケースが少なくありません。時給・作業内容・支援体制の3軸で、競合A型と並べた時に選ばれる理由を言語化してください。

  • 軸1 時給・賃金水準: 地域最賃+αが出せているか・月平均賃金が業界水準 (約9.2万円) と比べてどうか・賃上げ方針 (定期昇給・能力給) を明示しているか
  • 軸2 作業内容の特徴: 「内職・軽作業」だけでは差別化弱。自社カフェ・印刷・IT軽作業・農福連携など 本人のキャリアにつながる作業 で一般就労へのステップが見える設計か
  • 軸3 CS・支援の手厚さ: 支援員1名あたりの利用者数 (基準7.5:1)・国家資格者 (社会福祉士・精神保健福祉士・サビ管経験者) の構成・定着/生活支援の範囲 (通勤同行・医療同行・家族連携)

ハロワ担当者が「どちらに紹介しようか」と考える時、3軸のどこかで差別化されていなければ近い・既知の事業所が選ばれるだけです。集客に行き詰まったら、チャネル改善より先に 差別化軸の見直し を。賃上げ・作業内容変更・支援員増員 (or 研修強化) は中長期施策ですが、半年〜1年スパンで効いてきます。

留保: 賃上げや作業内容の変更は経営判断を伴います。生産活動の収益構造を確認した上で段階的に検討してください。


8. 効率化のヒント ─ 「学ぶ仕組み」で再現性を上げる

集客は管理者ひとりの仕事ではなく、見学対応する現場リーダー・体験実習を見るベテラン支援員・SNSを更新するスタッフ全員のチームスポーツです。全員が同じフレーム (二重戦略・3チャネル・3つの顔・5ステップ) を共通言語として持つことが、再現性の鍵です。

全員が同じフレームを持つには、朝礼や月次MTGで本記事の各章を1つずつ取り上げ、自事業所の数字に当てはめてディスカッションし、翌日のアクションを決める ─ という運用が現実的です。


FAQ

Q1. A型の平均賃金はいくら?

A. 厚生労働省「令和6年度工賃 (賃金) の実績について」によれば、A型事業所の 平均賃金は月およそ9.2万円 です。B型の平均工賃 (月約1.9万円) と比べると経済的訴求が強い水準ですが、雇用契約に基づく労働責任も伴います。最低賃金法・労働基準法が完全適用されるため、地域別最低賃金以上の時給支払いが必須です。

Q2. 受給者証申請にはどのくらい時間がかかる?

A. 受給者証 (障害福祉サービス受給者証) の申請から支給決定まで 通常2週間〜1ヶ月程度 が目安。市区町村により差があり繁忙期はさらに長くなる場合も。事業所側で書類サポート同行と待機中の近況連絡を行い、関係を切らさない運用が定着率を上げます。具体期間は管轄自治体の障害福祉課にご確認ください。

Q3. 体験実習は何日が標準?

A. 業界実務上、短期 (1〜3日) と中期 (1〜2週間) の二段構え が一般的。短期で雰囲気と作業特性、中期で支援員相性・通勤・体力面を確認します。体験から雇用契約までの平均期間は およそ1.5〜3ヶ月 が業界の感覚値です。

Q4. ハロワとナカポツの違いは?

A. ハローワーク 専門援助部門 は厚労省直轄の公共職業安定所内で職業紹介・求人票管理を担います。一方 ナカポツ (障害者就業・生活支援センター) は全国に約340箇所設置され、就業面と生活面 (通勤・体調管理・家族関係) を一体的に支援するのが特徴です。A型集客では両方への定期接触が必須です。

Q5. SNS発信は本当に効果ある?

A. 効果は出ますが即効性は期待しないでください。SNSは「すでに事業所名を知っている人が決め手として見に来るチャネル」として効き、見学申込前の最終確認 で価値を発揮します。週1発信 (作業の様子・支援員の声・賃金のリアル・見学受付) を半年継続すると、検索時に「動いている事業所」と認識されます。本人の実名・顔出しは同意なしには行わず、作業工程や成果物で語る構成が安全です。

Q6. 体験実習中に「合わない」と感じたらどう伝える?

A. 本人・支援者の双方に 誠実かつ早めに 伝えることが鉄則です。本人を否定するのではなく、事業所と作業特性のマッチング の観点で話します (例: 「うちの主作業はXですが、あなたが得意なYを活かせる別事業所のほうが力を発揮できます」)。ナカポツや相談支援員と連携して他事業所の紹介につなぐと、結果として担当者の信頼を得られます (第4章「事業所評価5項目」の2番目)。

Q7. 最低賃金はA型でも適用される?

A. はい、完全適用 です。A型は雇用契約に基づくため、最低賃金法・労働基準法・労働契約法が一般企業と同様に適用されます。生産活動が赤字でも最賃を下回ることは認められず、下回れば差額支払い義務が発生。最賃は毎年10月前後に改定されるため、改定リマインダーと年1回の社労士監査で追従漏れを防いでください。


まとめ

  • A型集客の本質は「就労ルート × 福祉ルート」の 二重戦略。片方しか見ていない事業所は定員が埋まりません。
  • 就労ルートは「数字で勝負する自己紹介 7要素」と「求人票月1更新+ハロワ/ナカポツ月1訪問」が基本動作。
  • 福祉ルートは「3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月の信頼曲線」を前提に、相談支援事業所・医療機関・特別支援学校に時間軸で接触設計します。
  • ハロワ・ナカポツ訪問では 3つの顔 (求人主1割・支援者6割・相談相手3割) を使い分け、紹介後48時間以内のフィードバックを徹底。
  • 体験→雇用の 5ステップ離脱率マップ で自事業所のボトルネックを特定し、見学60分パッケージ・短期中期の二段体験・受給者証申請伴走・契約説明5項目書面化で歩留まりを改善します。
  • 明日からの3アクションは「ハロワ専門援助部門に挨拶」「ナカポツに挨拶」「見学→雇用の対応マニュアル化」。すべて即日着手可能・無料です。
  • チャネル改善の前に、時給・作業内容・支援体制の 差別化軸 を見直すことも忘れずに。

集客は才能でも立地でもなく、設計です。本記事のフレームを朝礼や月次MTGで現場全員と共有し、3つの数字 (問い合わせ・体験・雇用) を月次で動かし続けてください。


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参考文献

本記事の内容は2026年6月時点の公表情報および業界実務上の感覚値に基づきます。最新の法令・告示・自治体運用および地域別の最低賃金額については、厚生労働省および所管自治体の公式情報をご確認ください。個別事案の労務判断・賃金監査は、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。


著者プロフィール

杉本 悠飛 (Yuhi Sugimoto)

株式会社フェアテクノロジーズ 取締役 / 株式会社テクキャリ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者

障がい福祉特化の動画研修サービス「ウェルビーラーニング」を立ち上げ、累計1,000社以上への導入を支援。株式会社テクキャリ(就労継続支援A型事業所)の取締役として、サビ管配置・個別支援計画作成・モニタリング・運営指導対応の実務知見を持つ。


「選ばれる事業所」づくりを、現場の学びから

本記事でご紹介した利用者集客のフレームは、管理者ひとりの知識にとどめず、見学対応や体験実習に関わる職員全員の共通言語にすることで現場に定着します。朝礼や月次ミーティングとあわせて、継続的に学べる仕組みを整えてみてください。

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